馬場元子監修

リングで出会った男たち
輪島大士ep.02

(1986年)4月7日、輪島大士と会った。トラブルのため花籠親方の名跡も返上し、“浪人”していた輪島は、プロレスに転向して一から出直したいという。

 「お願いします」という言葉に〝これをやるしかない〟という切羽つまったものを感じた私は、「借金のことは、全日本プロレスは責任は持たない。レスラーになっても、それだけの大金は稼げない。それを承知の上で、新弟子になったつもりでやるなら引き受けよう」と条件を出したが、輪島はそれでもやるという。とにかく本人のやる気が肝心だ。

 私の輪島育てが始まった。この年の4月以降は、それに終始して1年が終わってしまったような感じだった。いろいろと世間を騒がせ、怠け者とも言われていた男だが、引き受けた以上は、〝駄目でした〟ではすまされない。

 マスコミにも批判や悲観論がかなりあったが、「責任を持って、俺が一人前にして見せる」と、私も必死だった。

『王道十六文』より